感染した場合の対策とその後の治療について

監修:国際医療福祉⼤学医学部 感染症学 主任教授
国際医療福祉⼤学成⽥病院 感染制御部部⻑ 松本哲哉 先⽣

感染した場合に備える

体調に異変を感じた1)

  • 重症化リスクの高い方

    (高齢者・基礎疾患のある方など)

  • 症状がつらい方

まずは医療機関に連絡してください。かかりつけ医がいる場合は、かかりつけ医にご相談ください。陽性だった場合、医師の判断により入院または自宅療養となります。

高齢者・基礎疾患のある方など高齢者・基礎疾患のある方など
  • 重症化リスクが低い方

    (高齢者・基礎疾患のある方 以外の人)

    症状が軽い方

国が承認した検査キットを用いて自己検査を行ってください。陽性だった場合、自宅療養となります。陰性だった場合でも、症状がある場合はマスクを着用し、手洗いなどの基本的な感染予防対策を行いましょう。

高齢者・基礎疾患のある方 以外の人
高齢者・基礎疾患のある方 以外の人高齢者・基礎疾患のある方 以外の人
厚生労働省:5月8日以降も感染拡大に備え 体調に異変を感じたら

~体調不良時に備えましょう~

体調不良時に備え、検査キットや解熱鎮痛剤、相談先窓口
医療機関の連絡先を事前に準備しておくと安心です。
※ 各自治体の相談窓口については厚生労働省のホームページ をご参照ください。

体調不良に備えて、

準備しておきましょう

  • 新型コロナ抗原定性キット

    国が承認した「体外診断用医薬品」を選んでください。

    「研究用」は国が承認したものではありません。

  • 解熱鎮静剤
  • 相談先となる窓口や、医療機関の連絡先
体調不良に備えて、準備しておきましょう体調不良に備えて、準備しておきましょう

療養期間2)

5類移行後は、法に基づく外出自粛は求められなくなり、外出を控えるかどうかは個人の判断となりますが、発症日を0日目として翌日から5日間は外出を控え、かつ、発熱やのどの痛みなどの症状が軽快した場合でも軽快後24時間経過するまでは、外出を控え様子を見ることが推奨されます。また、発症後10日が経過するまでは、マスクの着用や、高齢者や基礎疾患のある方などとの接触を控えるなど、周りの方へうつさないよう配慮をしましょう。発症後10日を過ぎても咳やくしゃみなどの症状が続いている場合は、マスクの着用など咳エチケットを心がけましょう。

療養期間療養期間

厚生労働省:新型コロナウイルス 療養に関するQ&A

解熱鎮痛剤の選び方・飲み3)

重症化リスクがなく、軽症の場合は、必要に応じてご自分で解熱鎮痛剤を服用してください。使用する薬は、薬局・ドラッグストア等の薬剤師に相談し、自分の症状や体質に合ったものを選びましょう。特に、以前に薬でアレルギーやぜんそくが起きたことがある方、医療機関で処方された薬を服用中の方、妊娠している方、お子さんの薬を探している方は、購入の際必ず薬剤師に相談するようにしてください。

また、解熱鎮痛薬を飲むときは、他の解熱鎮痛薬や風邪薬と併用しないでください。解熱鎮痛薬や風邪薬には同じ効果をもつ成分が含まれているため、併用すると安全な量より多く飲むことになってしまい、危険です。

 解熱鎮痛剤の選び方・飲み方

 解熱鎮痛剤の選び方・飲み方

ご家族が感染した時の対処4)

5類移行後は、新型コロナウイルス感染症患者の濃厚接触者としての特定や行動制限はありません。

ご家族や同居されている方が新型コロナウイルス感染症にかかった場合は、可能であれば部屋を分け、感染されたご家族のお世話はできるだけ限られた方で行うよう注意してください。この際、心臓、肺、肝臓に持病のある方、糖尿病の方、免疫の低下した方、妊婦の方は、感染した時の重症化リスクが高いため、感染者のお世話をするのは避けてください。

また、新型コロナウイルス感染症にかかった方の発症日を0日として、特に翌日から5日間はご自身の体調に注意してください。7日目までは発症する可能性があります。

外出の制限はありませんが、外出する際は人混みを避け、マスクを着用しましょう。また、高齢者や重症化リスクのある方との接触は控えるなど配慮しまししょう。

家庭内でできる4つの対策

家庭内でできる4つの対策家庭内でできる4つの対策家庭内でできる4つの対策家庭内でできる4つの対策家庭内でできる4つの対策家庭内でできる4つの対策家庭内でできる4つの対策家庭内でできる4つの対策

厚生労働省:家族が新型コロナウイルスに感染した時のポイント

注意が必要なのはどんな人?

今すぐ確認してみましょう

以下の表に当てはまる項目がひとつでもある方は、ない方と比べて新型コロナウイルス感染症の重症化の危険性が高いことがわかっています。

年齢

  • 65歳以上

体型

  • 肥満がある(BMIが30以上)

生活習慣

  • タバコを吸う(現在および過去)
  • 運動不足

基礎疾患(持病)

以下のような持病や既往歴がある

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • がん
  • 慢性の肺の病気(COPDなど)
  • 慢性の腎臓の病気
  • 心臓の血管の病気(心筋こうそく、狭心症など)
  • 脳の血管の病気(脳こうそく、脳出血など)
  • HIV感染症
  • 臓器移植による免疫不全
    など

  • ステロイド等の免疫を抑える薬を使っている

妊娠

  • 妊婦(妊娠後半期)
BMI:体格指数 [計算]BMI=体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}

COPD:慢性閉塞性肺疾患、HIV:ヒト免疫不全ウイルス

厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き 第10.1版より作成

あてはまる項目がある方は、

新型コロナウイルス感染症の感染に備え、取るべき行動について

かかりつけ医に相談してみてはいかがでしょうか。

あてはまる項目がある方は、

新型コロナウイルス感染症の

感染に備え、取るべき行動について

かかりつけ医に相談してみては

いかがでしょうか。

2024年秋冬に予想される
新型コロナウイルス感染症の
流行を踏まえ、ワクチンの定期接種の
方針が示されています。

2024年秋冬に予想される
新型コロナウイルス感染症
の流行を踏まえ、
ワクチンの定期接種の
方針が示されています。

定期接種の実施時期

令和6(2024)年10月1日~令和7(2025)年3月31日
(自治体ごとに上記の期間内で実施されます)

対象となる人

  • 65歳以上の方
  • 60~64歳で対象となる方

※心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方

※定期接種の対象者以外の方や、定期接種のタイミング以外で接種する場合については、 任意接種としてワクチンの接種を受けることができます。

厚生労働省. 令和6年度第1回 予防接種に係る自治体向け説明会「新型コロナワクチンの定期接種等について」(令和6年6月21日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001266569.pdf)(2024年7月11日閲覧)

出典

  • 1)

  • 2)

  • 3)

  • 4)

新型コロナウイルス

感染症の

治療法を知る

治療方針につい1,2)

新型コロナウイルス感染症の治療方針は、症状の重さによって決まります。

軽症

咳のみで息苦しさなどの呼吸器症状はなく、肺炎の所見もない状態

経過観察のみで自然に軽快することが多く、症状が治まるまでは自宅で安静にし、こまめに水分補給を行うことが推奨されます。また、必要に応じて解熱鎮痛剤や咳止めなどの対症療法(症状に対する治療)が行われます。

ただし、重症化リスクのある方については軽症であっても入院の対象となることもあり、重症化予防を目的として中和抗体薬や抗ウイルス薬による薬物治療が検討されます。重症化リスクの高い方は、症状が軽い場合でもすぐに医療機関を受診しましょう。

中等症

息苦しさや肺炎が認められる状態または血液中の酸素の量が一定基準より低下し、自力での呼吸が困難な状態(呼吸不全)

中等症は肺炎が認められ、酸素投与が不要なレベルを中等症Ⅰ、酸素投与が必要なレベルを中等症Ⅱとして区別しています。

中等症Ⅰの場合は肺炎があったとしても呼吸不は認められない状況なので、抗ウイルス薬の投与対象ではありますが、自宅療養とするか、入院が必要かについては、医師により総合的に判断されます。

中等症Ⅱの場合は肺炎により自力での呼吸が困難になっていることがあるため、基本的に入院をして酸素を鼻や口から補い、抗ウイルス薬などによる薬物治療が検討されます。肺でウイルスによる炎症が起きている場合には、抗炎症薬の投与も検討されます。

※空気中から酸素を体に取り入れて、体内でできた炭酸ガスを体外に放出するという肺本来の働きを果たせなくなった状態。

重症

肺炎が進行して自力での呼吸ができず、全身に炎症が出たりする状態

重症になると気道に直接管を入れ、人工呼吸器を使用して呼吸をサポートしたり、もっと悪くなるとECMO(エクモ)という体外式膜型人工肺を使うこともあります。オミクロン株流行以降は、肺以外の臓器に障害が起きて重症化するケースも見られます。

高齢の方の場合

高齢の方が新型コロナウイルスに感染症により入院した場合、心身機能が低下し、自宅や元の施設に戻れなくなることがあることがあります。そのため、機能維持を目標とした適切なリハビリテーションも治療と並行して早期に実施されま3)。また、脱水や栄養障害に陥らないよう、十分な水分補給と栄養摂取も重要で1)

高齢の方の場合

厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き 第10.1版より作成

治療薬の種類2,4,5)

現在、厚生労働省の承認を受けている新型コロナウイルス治療薬には「抗炎症薬」「抗ウイルス薬」「中和抗体薬」があります。

抗炎症薬:ウイルスの侵入による炎症を抑える薬剤で、注射薬や点滴薬、飲み薬があります。

抗ウイルス薬:体内に侵入したウイルスの増殖を抑える薬剤で、点滴薬と飲み薬があります。

中和抗体薬:ウイルスが細胞の表面に付着して侵入するのを防ぐ薬剤で、点滴薬と筋肉注射薬があります。

新型コロナウイルス感染症は、発症後数日はウイルスの増殖がみられ、発症後7日前後からは炎症反応がみられると考えられていま2)。そのため、一般的に発症初期には抗ウイルス薬や中和抗体薬でウイルスの増殖を抑え、中等症~重症となった場合は抗炎症薬で炎症を鎮める治療法が検討されます。

抗炎症薬

ウイルスによる炎症を鎮める

  • 注射薬、点滴薬、飲み薬がある。

抗ウイルス薬

体内に侵入したウイルスの増殖を抑える

  • 点滴薬と飲み薬がある。

中和抗体薬

ウイルスが細胞に侵入するのを防ぐ

  • 点滴薬と筋肉内注射薬がある。
 治療薬の種類 治療薬の種類
日本感染症学会:COVID-19 に対する薬物治療の考え方 第15版(2022年11月22日)

川合眞一ほか 編:今日の治療薬2023, 南江堂 より作成

感染症の治療において重要なのは、体内でのウイルス量が少ない発症早期に治療を開始することで2)。症状が出たら早めに検査を受け、陽性と判明したら速やかに抗ウイルス薬や中和抗体薬での治療を開始することで、重症化を防ぎ入院や死亡のリスクを下げることができる可能性があります。特に重症化リスクの高い方は、疑わしい症状が出たら躊躇せず、早めに医療機関を受診し、陽性だった場合には飲み薬や点滴による治療を受けることをお勧めします。

また、なんらかの基礎疾患があって普段から薬物治療を受けている場合は、抗ウイルス薬との併用が可能かどうか確認する必要がありますので、お薬手帳を持参するようにしましょう。

 治療薬の種類 治療薬の種類

新型コロナウイルス感染症は、重症化リスクの有無によって適切な対処法が異なります。

まずはご自身やご家族の重症化リスクを確認しましょう。

重症化リスクがなく軽症で済んでも、後遺症が残る可能性があります。

自分自身や家族や友人などの大切な人を守るためにも、

若い世代の方々も積極的にワクチン接種を検討しましょう。

また、感染した場合でも現在では治療の選択肢が増えてきています。あなたにあった治療法を主治医の先生とご相談ください。

注意が必要なのはどんな人?

注意が必要なのはどんな人?

注意が必要なのはどんな人?

今すぐ確認してみましょう

以下の表に当てはまる項目がひとつでもある方は、ない方と比べて新型コロナウイルス感染症の重症化の危険性が高いことがわかっています。

年齢

  • 65歳以上

体型

  • 肥満がある(BMIが30以上)

生活習慣

  • タバコを吸う(現在および過去)
  • 運動不足

基礎疾患(持病)

以下のような持病や既往歴がある

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • がん
  • 慢性の肺の病気(COPDなど)
  • 慢性の腎臓の病気
  • 心臓の血管の病気(心筋こうそく、狭心症など)
  • 脳の血管の病気(脳こうそく、脳出血など)
  • HIV感染症
  • 臓器移植による免疫不全
    など

  • ステロイド等の免疫を抑える薬を使っている

妊娠

  • 妊婦(妊娠後半期)
BMI:体格指数 [計算]BMI=体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}

COPD:慢性閉塞性肺疾患、HIV:ヒト免疫不全ウイルス

厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き 第10.1版より作成

あてはまる項目がある方は、

新型コロナウイルス感染症の感染に備え、取るべき行動について

かかりつけ医に相談してみてはいかがでしょうか。

あてはまる項目がある方は、

新型コロナウイルス感染症の

感染に備え、取るべき行動について

かかりつけ医に相談してみては

いかがでしょうか。

2024年秋冬に予想される
新型コロナウイルス感染症の
流行を踏まえ、ワクチンの定期接種の
方針が示されています。

2024年秋冬に予想される
新型コロナウイルス感染症
の流行を踏まえ、
ワクチンの定期接種の
方針が示されています。

定期接種の実施時期

令和6(2024)年10月1日~令和7(2025)年3月31日
(自治体ごとに上記の期間内で実施されます)

対象となる人

  • 65歳以上の方
  • 60~64歳で対象となる方

※心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方

※定期接種の対象者以外の方や、定期接種のタイミング以外で接種する場合については、 任意接種としてワクチンの接種を受けることができます。

厚生労働省. 令和6年度第1回 予防接種に係る自治体向け説明会「新型コロナワクチンの定期接種等について」(令和6年6月21日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001266569.pdf)(2024年7月11日閲覧)

出典

  • 1)

    厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き 第10.1版

  • 2)

    日本感染症学会:COVID-19 に対する薬物治療の考え方 第15版(2022年11月22日)

  • 3)

  • 4)

  • 5)

    川合眞一ほか 編:今日の治療薬2023, 南江堂

2024年9月作成 CVD46O007A